もしくは遺族

面倒臭い人が面倒臭いこと言うだけのコンテンツ

アイドルに救われてアイドルに殺された話

私はアイドルヲタクです。

地上から見れば地下、地下から見れば地上という微妙な位置のアイドルのヲタクです。

私が必死に勉強して合格した高校は校則が厳しく課題が多い学校でした。公立で美術専攻の授業がある高校がそこしか無かったので仕方が無いのです。授業は楽しく友達も出来ました。ただ、課題の量が多いのと私の要領が悪いのと友達との金銭感覚の違いもあって上手くは行っていませんでした。

私はその時とあるアイドルが好きでした。
彼女の歌に、笑顔に、可愛さに元気を貰ってギリギリを保っていました。
地元に来てくれた時は追試が終わらなくて間に合うか分からず泣きそうになったし、夜課題が終わらない時は彼女が好きだったエナジードリンクを飲んで彼女の歌を聴いて徹夜で片付けていました。

ですが次第に課題が終わらなくなり、授業についていけなくなり、学校に行くことが辛くなってきた
学校においでと言われるのが辛くて、周りの子の要領の良さがうらやましくて
それでも彼女が画面の向こうで歌っているのを見ているときは私も笑顔でいることができました。

でも、突然消えてしまった
彼女は何も言わずに卒業してしまった
歌うことをやめてしまった
アイドルでは無くなってしまった

本当に突然の出来事で頭の整理がつかなかった
彼女のいたグループがまた地元に来てくれるのが決まっていた
でももう彼女には会えないのだ
予兆はあったが、考えないようにしていた

私は、友達とも何処と無く疎遠になり、学校の最寄り駅をわざと何度も乗り過ごしたり、駅に降りることが出来てもそこで吐いてしまったり、もはや乗り換えの駅ですら具合が悪くなったり。
次第に学校に行かなくなった
行けなくなったの方が近い。
保健室の先生も私の事が面倒になっていたと思う。なんとなく分かった。
スクールカウンセラーとも話したけどあまり解決しなかった。
最後の方は時間が空いている専攻教師の人と話している時間の方が長かった気がする。

母は私を心配して心療内科に連れていったがアイドルが辞めたから学校に行けないは普通直接は結びつかないため出された漢方も効かなかった。

母は「死んだわけじゃないんだから」と言う
死んではいない。でもアイドルの彼女は死んだのだ
帰ってこないのだ。

そうして外に出ないまま秋も冬も過ごした。
結局中退扱いになった。自分が惨めだった。
遠くの友達に一緒に大学に行くことは出来ないかもしれないと言うと怒られた。謝ることしか出来なかった。
そこまで言うならあたしが死ぬ時一緒に死んでくれと思った。

彼女はもういない

高校生になって二度目の冬が訪れている今も私はアイドルヲタクをやっている。
アイドルを精神的支柱にしてギリギリで生きている。
元同級生達は受験の話をしている中、取り残された私はやっぱり惨めで仕方がない。

彼女のように頑張って積み上げたものを1度全て崩してから立て直せるほど私は強くない
話を聞いてほしいだけなのに丸め込まれるから母にはもうしばらくは話したくない。

立ち直れないままこの先どうしたらいいのか分からないままこうして高校一年生が終わろうとしている。

私はアイドルが好きです。